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2008年12月

『ドリームズ・カム・トゥルー』

 最近レンタル・ビデオ店に面白い作品が入らない。お目当ての「ホット・ファズ」は新作だからすでに借りられてしまい棚にない。しかたがないのであれこれ物色して、たぶん癒し系だろうと考えて「ドリームズ・カム・トゥルー」(原題名 Akeelah and the BEE)というのを借りた。完全に暇つぶし用である。ところがOJISANにとってはこれが意外にあたりものだった。感動した。

 アメリカ映画で、どんなストーリーかというと、簡単に言えば11歳の少女がスペリング大会に参加して全国大会で優勝するという話である。こういう大会は日本にはない。英語は表音文字文化であり、全部で26文字しかない。各単語が26文字の組み合わせでできているのはご承知のとおり。余計な話だが、むかし学校で英語を習い始めた頃はたった26文字だけとはなんてラクなんだろうと無知きわまりないことを考えていた。それがのちのち果てしなく続く英語学習地獄めぐりの始まりだったのはたぶん多くの皆さんも同じであろう。

 日本語の文字文化の中心は表意文字すなわち漢字である。一文字ずつ意味とともに覚えて行かなくてはならない。それは始まりであり加えて日本文では平仮名、カタカナ、ローマ字(ご丁寧に訓令式とヘボン式まである)も組み合わせて構成される。その煩雑さたるや日本語は「悪魔の言語」だと西洋人のだれかが言ったそうだがまったくナットクできる。それに比べてアメリカ人は幼児のときから英語をしゃべる。その口から出てくる音をそのまま26文字で表せばいいはずなのだが、各単語は固有の「つづり」がある。超難解な単語であれば20文字ぐらい当たり前のようだ。一文字でも間違いは間違い。意味まで変わってくる。アメリカの中学生以下の国語学習目標のメインのひとつはいかにたくさんの単語の「つづり」を正確に身につけるかにあるようだ。優等生の条件のひとつである。OJISANはアメリカではつづり方コンクールの全国大会まであることを映画「ドリーム・カム・トゥルー」で初めて知った。

 そういえば、つづり方大会の話は不朽のアメリカ文学「トム・ソーヤーの冒険」にまで描かれていた。大好きな女の子の目の前で、学校の「つづりかた大会」でズルをするトム・ソーヤーの大失敗が描かれるほどに「つづり方大会」(Spelling BEE)はアメリカの歴史と文化の華なのだ。・・・・・・つづり方を題材とした文学・演劇・映画は多数に上るに違いない。「綴り字のシーズン」という映画もあった。この映画はなんとリチャード・ギア様が主演なのだ等々知ったかぶりの半端なウンチクをあれこれ書いて非常に疲れた。身に付かない無理はしない方がいい。

 飛躍した話になるかもしれないが、なぜ日本の学校教育では全国規模でこれに類することをやらないのだろう。スポーツの全国大会は山ほどあるのに。ここ十年漢字検定を行う団体が活動してきてようやく定着してきたと思ったら検定の収入が大きすぎて創設者の理事長が団体を私物化してしまいなんか漢字の勉強も汚された雰囲気になってきた。アメリカの「spelling BEE」のように日本版「漢字大会」も野球やサッカーに並ぶくらい文化系イベントの「華」になってもいい気がするんだけれどね。

 

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