『大統領の料理人』KKベストセラーズ
副題に「厨房からのぞいたホワイトハウス11年」とあって、1994年から2005年まで、ホワイトハウスのエグゼクティブ・シェフを勤めたウォルター・シャイブの回想記である。
シャイブ氏は、ホワイトハウスにおいてクリントン及びブッシュの両大統領に料理人として仕えた。なかでもクリントン時代を懐かしく回想している。なぜならシャイブ氏はヒラリークリントン夫人に面接され、その結果採用されたからである。野次馬のOJISANも含めて読者としてはホワイトハウスにいたと言えばまず語ってもらいたいのは、ホワイトハウスの政治の秘密と主人たちのスキャンダラスな生活の暴露である。特にクリントン大統領はその種の話題を豊富に作り出したことが知られているので期待していた。しかし、この本でシャイブ氏が徹頭徹尾語るのはホワイトハウスでの料理であり、料理にまつわるホワイトハウスの内情である。シャイブ氏は冒頭で「自分は政治には世間並みの知識・興味しかない。住人のプライバシーも語ることを好まない」と書いて読者に引導を渡している。
最初の宣言のとおりシャイブ氏は、大統領とその家族の内情は書かない。書くとすればほほえましいアメリカ型スィート・ファミリーの側面だけである。その意味でシャイブ氏の人柄の良さが分かる。たぶんヒラリー・クリントンの採用条件には「口の堅さ」も入っていたのであろう。この本の面白いところはホワイトハウスで作られた料理のレシピが紹介されていて、あなた達にもホワイトハウスで出され、「大統領と家族の食べているものと同じ料理が食べられますよ」という配慮がなされていることだ。これもたぶんシャイブ氏の人柄によるものと思う。また、シャイブ氏は自分の仕事を書くだけでなく、自分の家族のことも暖かく、何気なく書く。これも家族を大切にするアメリカ人を体現していて好ましい。
9:11のときのホワイトハウスの緊迫したありさまも書かれている。ホワイトハウスの管理責任者や警備担当者でなく、一従業員の目で見た混乱の観察であって、内部の危機管理が実際はどうであったのかよく分かり興味深い。でもホワイトハウスでは緊急の際にはみんな地下の秘密基地に避難するのかと思っていたらそうじゃなくてバラバラに外に逃げ出すなんて面白くも何ともない。なんとかしないと一度あることは二度あるよ。油断大敵
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